看護師のキャリアアップの方向性と役立つ資格
看護師のキャリアパスは、一人ひとりの目標や進みたい方向性によって異なります。当記事では様々なキャリアを目指す看護師の方のために、役立つ資格と取得方法について解説します。また、資格を取得する際に受けることができるキャリアサポートについてもご紹介いたします。キャリアアップを目指している看護師の方は是非参考にしてください。
看護師のキャリアアップの方向性
看護師がキャリアアップを目指す際は、自分の目標や興味に合わせた戦略を立てることが重要です。キャリアアップの方向性としては、ジェネラリスト、スペシャリスト、看護管理者、研究教育者の4つに大きく分けることができます。それぞれの特徴とメリットを詳しく見ていきましょう。
幅広い分野の知識が求められるジェネラリスト
ジェネラリストとは、幅広い看護スキルを持ち、様々な診療科や看護領域で活躍できる看護師を指します。ジェネラリストとして活躍するためには、多様な現場で経験を積むことが重要です。ジェネラリストのメリットとして、職場の選択肢が広がることや、異動や転職の際に有利になる点が挙げられます。また、幅広い知識と経験は、将来的に管理職や教育担当者としての道を開くことにもつながります。
特定の分野に特化したスペシャリスト
スペシャリストは、特定の分野に特化した専門知識と技術を持つ看護師です。例えば、がん看護専門看護師、感染管理看護師、精神科看護師などが挙げられます。スペシャリストを目指す看護師は、まず自分の興味や得意分野を見極め、その分野に関連する資格や認定を取得することが重要です。専門性を高めるための勉強や研修を積極的に受けることで、エキスパートとしての地位を確立します。スペシャリストのメリットは、特定の分野で高い評価と信頼を得られることや、専門資格による給料や待遇の向上が期待できる点です。
現場をまとめる看護管理者
看護管理者は、看護チームのリーダーとして、組織全体の運営やスタッフの管理を行う役割を担います。看護管理者を目指す看護師は、マネジメントスキルやリーダーシップを磨くことが求められます。また、認定看護管理者の資格を取ることはスキルアップや昇進につながります。看護管理者のメリットは、病院全体の運営に携わることで広い視野を持つことができる点や、スタッフの育成や指導を通じてチーム全体の成長に貢献できることです。
次世代の看護師を育てる研究教育者
研究教育者は、看護教育や研究活動を通じて、看護の質向上を目指す役割を担います。研究教育者を目指す看護師は、学術的な知識を深め、教育や研究に関するスキルを磨くことが必要です。大学院での学位取得や、研究プロジェクトへの参加、看護教育機関での教員経験を積むことで、専門的な知識を持つ教育者や研究者としての地位を確立します。研究教育者のメリットは、看護の発展に貢献できる点や、後進の育成を通じて看護界全体に影響を与えることができることです。
看護師のキャリアアップに繋がる資格と取得方法
自分の目標に合った資格を取得することは、看護師としてのキャリアアップにつながります。資格を取得することで、様々な専門知識や技能を身に着けることができるだけでなく、給料の向上や転職の幅を広げることができます。ここでは、看護師がキャリアアップするために役立つ主要な資格とその取得方法について詳しく解説します。
専門分野の高度な知識とスキルを有する認定看護師
認定看護師資格は、特定の専門分野で高度なスキルと知識を有することを証明する資格です。手術看護や感染管理、乳がん看護など、多岐にわたる分野があります。認定看護師になるための流れは以下の通りです。
- 日本国の看護師免許を取得
- 通算5年以上の実務研修(そのうち3年以上は認定看護分野での実務研修)を行う
- 認定看護師教育機関で600時間以上の教育を修める
- 認定審査に合格する
- 認定証の交付・登録
資格取得後は、専門的な看護ケアを提供する能力が認められ、その分野でのキャリアの深化が期待できます。スペシャリストになりたい方は自分の分野に合った認定看護師資格の取得を目指しましょう。認定看護師の資格は5年ごとに更新する必要があります。
看護の質の向上に貢献する専門看護師
専門看護師は、高水準の看護を行うための知識とスキルを有していて、看護の質の向上に努める看護師です。専門看護分野としては、がん看護や、精神看護、感染症看護などがあります。専門看護師になるための流れは以下の通りです。
- 日本国の看護師免許を取得
- 看護系大学院修士課程を修め、通算5年以上の実務研修(そのうち3年以上は専門看護分野での実務研修)を行う
- 認定審査に合格する
- 認定証の交付・登録
専門看護師の資格を取得することで、専門看護分野の実践だけでなく教育や研究にも携わることが可能になります。研究教育者になりたい方はぜひ取得しましょう。専門看護師も5年ごとに資格の更新が必要です。
組織をまとめる認定看護管理者
認定看護管理者の資格は、病院などの管理責任者としての資質を証明する資格となります。認定看護管理者になるための流れは以下の通りです。
- 日本国の看護師免許を取得
- 通算5年以上の実務(そのうち3年以上は看護師長相当以上の管理)を行う
- 認定看護管理者教育課程のサードレベルを修了、または看護管理に関する学問の修士以上の学位を取得
- 認定審査に合格する
- 認定証の交付・登録
認定看護管理者は質の高いサービスを患者や家族、地域住民に提供できるように組織を発展させていくことが求められます。看護管理者を目指している方はぜひ取得するようにしましょう。認定看護管理者も5年ごとに資格の更新が必要です。
妊娠や出産の仕事に携わる助産師
助産師は、妊娠、出産、産後のケアを専門とする職業です。助産師になるためには、看護師国家資格だけではなく、助産師国家資格の取得も必要です。妊娠や出産の仕事に携わりたい方は取得するようにしましょう。なお、助産師の資格を取得できるのは女性に限られています。
公衆衛生業務を担う保健師
保健師は、地域や職場での健康管理、予防活動、教育などの公衆衛生業務が主な仕事です。保健師になるためには、看護師国家資格だけではなく、保健師国家資格の取得も必要です。地域社会や公共の健康を守り、支援していきたいと考えている方はぜひ取得するようにしましょう。
看護師向けの資格取得に役立つキャリアサポート
看護師がキャリアアップするために資格取得を目指す際は、様々なキャリアサポートを有効に活用することがおすすめです。以下では、看護師向けの資格取得に役立つ代表的なキャリアサポートについて詳しく解説します。
看護師向けの奨学金・助成金に申し込む
看護師のキャリアアップを支援するために様々な団体が奨学金制度を設けています。奨学金を利用することで、資格取得にかかる学費や教材費を軽減でき、経済的な負担を減らして勉学に専念することができます。例えば、日本看護協会では大学院に在学している看護師・助産師・保健師に奨学金を提供しています。応募資格や返還の有無などの詳細を確認し、自分に合った奨学金・助成金を探しましょう。
看護師としてスキルアップするための研修・セミナーに参加する
資格取得に必要な知識やスキルを身につける際に、独学だと行き詰ってしまうことがあるかもしれません。そのような時は病院や看護協会などが主催する研修・セミナーに参加することがおすすめです。最新の医療情報や実践的な技術を学ぶことができます。忙しい看護師のためにオンラインで受講できる研修やセミナーも多いため、働きながらスキルアップを図ることが可能です。
勤務先のサポートを積極的に活用する
所属している医療機関によっては、勤務時間の調整や資格取得のための休暇制度など、働きながら学ぶ看護師をサポートするための制度を整えている所があります。これにより、仕事と学習のバランスを取りながら資格取得を目指すことができます。特に、勤務先が資格取得を推奨している場合、受験費用の一部負担や研修参加の奨励など、積極的な支援を受けることができるかもしれません。勤務先にどのようなサポートがあるのか確認するようにしましょう。
支援を有効に活用して資格を取得し看護師としてキャリアアップ!
看護師のキャリアアップの方向性は、ジェネラリスト、スペシャリスト、看護管理者、研究教育者の4つに大きく分かれます。自分が将来どのようなキャリアを歩みたいのかしっかりと考えるようにしましょう。看護師のキャリアアップには、認定看護師などの資格を取得することが役立ちます。資格を取得することで、高度な専門知識と技術が身につき、給料アップや好条件の転職にもつながります。各種の支援を積極的に活用しながら資格取得を目指し、看護師としてのキャリアアップを目指しましょう!
当記事の参考文献
キャリアデザインへの道|公益社団法人 日本看護協会
資格認定を目指す方へ(資格について)|公益社団法人 日本看護協会
助産師を目指す方へ|公益社団法人 全国助産師教育協議会
保健師の仕事|全国保健師教育機関協議会